事務所通信

2025年7月号

税務:親の税負担を軽減する「特定親族特別控除」が新しくできました

 これまで、大学生年代(19歳以上23歳未満)の子を持つ親等は、子のアルバイト等による年収(年間給与収入)が103万円以下であれば自身の所得から扶養控除(「特定扶養控除」)として63万円の控除を受けることができました。子は親等の税負担が増えないように「年収103万円以下」に抑えるために働く時間を調整することも多く、学生アルバイトを雇用する事業者は人材確保に苦慮することも多くありました。

そうした状況を税制面から改善するため、令和7年度税制改正で、子の年収が「188万円以下」までであれば、親等が所得控除を受けられるしくみが整備されました。令和7年分の所得税(年末調整において適用)、令和8年度分の住民税から適用されます。

 〇特定扶養控除:親等が受けられる特定扶養控除(控除額63万円)について、大学生年代の子の年収要件が、103万円以下から123万円以下(合計所得金額58万円以下)に引き上げられました。

 〇特定親族特別控除:親等は、大学生年代の子の年収が123万円を超えても、150万円以下(合計所得金額85万円以下)であれば、特定扶養控除と同額(63万円)の控除が受けられます。また、子の年収が150万円を超えても、年収188万円以下(合計所得金額123万円以下)までは所得控除を受けられます(子の年収に応じて控除額は段階的に縮小)。

 今回の改正により、学生等がより多く働けるようになるため、学生アルバイトを雇用する事業者は、柔軟なシフトを組むことができるようになると期待されます。


経営:期の「折り返し」は業績改善のチャンス!(実践編2) 

 社長の「今期やりたいこと」を数字に落とし込んだものが、経営計画です。経営計画は毎月の実績と照らし合わせてこそ、その真価を発揮します。期の「折り返し」では、上期の振り返りを行いましょう。業績の改善を図るチャンスにもなります。

○FXクラウドシリーズ「予算実績比較表」から売上高・変動費・限界利益額・固定費・経常利益の実績と予算を確認し、上期の全体像をつかみましょう。

○FXクラウドシリーズ「当期決算の先行き管理」から、業績予測値を入力して「このままいくと、こうなる」という着地点をシミュレーションしてみましょう。

○着地点の予測から見えてくる改善点を洗い出し、例えば、「1日あたりの売上をあと2万円増やせば資金繰りが安定する」など、1日単位の数字に落とし込んだ具体的な打ち手(やるべきこと)を検討してみましょう。


会計:経理の「?」を「!」に 支払時に「一括費用計上」できるものは? 

 費用計上のルールは、「今期の費用は今期に、来期の費用は来期に」が原則です。そのため、翌年分の地代家賃や火災保険料、保守点検料の前払いのように、期末においてまだ提供を受けていないサービスに対する支払いについては、原則として、支払った期の費用とせずに「前払費用」として資産計上し、翌期以降、サービスの提供を受けた時に費用計上します。

 ただし、例外として、支払った日から1年以内にサービスの提供を受ける費用(短期前払費用)については、一定の要件のもと、支払った期に一括して費用計上することができる「短期前払費用の特例」があります。その法人の事業に必要な、「重要な費用」は対象とはなりません。また、一定の契約に基づき毎期継続して適用する必要があるため、「利益が出たので、当期だけまとめて1年分のみ支払い、継続はしない」といった、利益調整とみられるような支払いには適用できません。

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上記の記事は、毎月当事務所の関与先へ配布している「事務所通信」の要約版となっております。記事について詳細を知りたい事業者の方はお気軽にご連絡ください。